代金が支払われない! フリマアプリのトラブルを法的に解決する方法

2021年03月18日
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代金が支払われない! フリマアプリのトラブルを法的に解決する方法

国民生活センターの報告によると、フリマアプリでの取引を通じて起きたトラブルが急増しているとのことです。久留米市にお住まいの方ででも、フリマアプリを活用されている方は少なくないでしょう。

そこで今回は、フリマアプリのトラブルの具体例や相談する方法、法的に可能な対処法を久留米の弁護士が解説します。フリマアプリのトラブルでお困りの方のお役に立てると幸いです。

1、フリマアプリの仕組みとは

まずはフリマアプリの概要や仕組みを確認しておきましょう。

  1. (1)フリマアプリとは

    フリマアプリとは、インターネット上で個人が商品を取引できるアプリケーションのことをいいます。実際には、フリマアプリに掲載されている情報は、パソコンでも確認可能です。フリマアプリやフリマサイトは、個人間の取引をマッチングさせるプラットフォームですので、あくまでも取引は個人間で行われます。したがって、フリマアプリで発生したトラブルについては基本的に個人間で解決するようにと規約で定められていることがほとんどです

    サイト運営者は、その取引を成立させるためのプラットフォームを提供するかわりに、利用者から手数料を徴収しているのです。

  2. (2)フリマアプリの取引の流れ

    主なフリマアプリでは、一般的に以下の流れで取引が進みます。多くのフリマアプリでは、代金の支払いトラブルを防ぐために、商品到着が確認できなければ出品者に代金が支払われることがない仕組みになっています。

    1. ①出品者が商品を出品
    2. ②購入者が購入して代金を運営者に支払う(エスクロー)
    3. ③出品者が商品を発送
    4. ④購入者が商品を受け取り出品者が評価
    5. ⑤出品者が購入者を評価
    6. ⑥運営者から出品者に代金が支払われる

2、フリマでのトラブルが増加中! フリマトラブルの具体例

前述のとおりフリマアプリやサイトに関するトラブルは少なくありません。国民生活センターに寄せられる相談件数は、平成29年には3330件、平成30年は4479件と年々増加の一途をたどっています。ではいったいどのようなトラブルが発生しているのでしょうか。具体例を確認していきましょう。

●フリマアプリで購入した商品が偽物だった
フリマアプリで販売されているブランド品を、本物だと信じて購入した方が、偽物であることに気付き、返品を求めたものの返品に応じないという事例が報告されています。
そのブランド品が偽物だった場合は、購入者が被害者となりますが、正規品を販売しているのに偽物だと主張された場合は、出品者が被害者になりえます。なぜならば、返品する際に偽物と交換されるおそれがあるからです。

●商品代金をフリマアプリで経由ではなく直接送金したら連絡が取れなくなった
フリマアプリでの決済は、原則としてフリマアプリ上で行われ、商品が到着しなければ出品者の元には届かないという仕組みです。しかしながら、「お金がすぐに必要だから」とだまして、左記に商品代金を、フリマアプリを経由せずに送金させるという手口でお金をだまし取るという事件が発生しています。

●商品到着前に評価をしたら、商品が発送されなかった
出品者が、「必ず商品を発送するから先に評価をしてほしい」と依頼して、購入者が商品到着前に評価することで、出品者は商品発送前に代金を受け取ることができます。この手口でお金をだまし取られる事例も少なくありません

●商品に欠陥があった
ゲームハードやパソコンなどで、動作確認済みとしながらも、実際に届いたら作動しなかったという事例も存在します。また、商品写真には写っていなかった汚れや傷等が、商品到着後に発覚するというトラブルも起きているようです。

●商品を発送したのに、届いていないと言われる
出品者が正しい手順で商品を発送しているにもかかわらず、購入者が届いていないと主張して代金が支払われないというトラブルも起きています。

3、トラブルに遭った場合の相談先一覧

フリマアプリでトラブルに遭った際は、原則として個人間での解決が求められています。しかしながら、相手が悪質であったり、相手と連絡がとれなくなったりして、話し合いによる解決ができないというケースも存在します。

そのようなときは、泣き寝入りすることなく関係各所に相談をしましょう

  1. (1)フリマアプリ運営者への相談

    まずは、フリマアプリ運営者に出品者にトラブルが発生していることを相談しましょう。相手方に利用規約の違反行為があった場合は、フリマアプリ運営者から相手方に取引を是正するようにと指導がなされることもあります。ただし、原則として、個人間の取引ですので、個人間での解決が認められます。フリマアプリ運営者が積極的に介入しないケースもありますので、フリマアプリ運営者がなにも対応してくれない場合は他の対処法を検討しましょう。

  2. (2)久留米市消費生活センターに相談

    フリマアプリに関する相談は、久留米市消費生活センターでも受け付けています。平日の午前8時半から午後5時まで、電話での相談を受け付けており、相談料は無料です。消費生活センターでは、消費者からトラブルの相談を受けると、相談内容をヒアリングした上で、解決方法をアドバイスしてくれます。場合によっては、弁護士等の窓口を紹介されることもあります

  3. (3)弁護士に相談

    被害額が高額となったフリマアプリでのトラブルを速やかに解決したい場合は、弁護士に相談するのも有効な手だてです。弁護士であれば、解決可能な道筋を示した上で、最適な解決方法を実行できます。相手方が悪質で、被害金額が大きい場合などは、弁護士に相談してベストな解決方法のアドバイスを受けることが可能です

  4. (4)警察に相談

    フリマアプリでのトラブルが、詐欺罪等の犯罪に該当する可能性がある場合は、警察への相談も検討しましょう。たとえば、「壊れている電化製品を壊れていると知りながら、壊れていないモノとして販売する」という行為は詐欺罪が成立する可能性があります。

    なにかしらの違法行為がある場合は、警察が捜査を行ってくれる可能性がありますので、相談してみてもよいでしょう。ただし、警察が介入したからといって、必ずしもだまし取られたお金が返金されるというわけではありません。代金や商品の返還を求めたい場合は、警察だけでなく弁護士にも相談しておきましょう

4、内容証明? 少額訴訟? フリマアプリのトラブルの対処法

次に、フリマアプリでのトラブルが発生した際に、個人でできる対処法を解説します。運営会社や消費者センターに相談しても解決しなかったけれど、損害を回復してもらいたいと考えている場合は、以下の2つの対処法を検討するとよいでしょう。ただしいずれの方法も、相手側の個人情報が必要となります。

  1. (1)内容証明郵便の送付

    メルカリ等のフリマアプリで、商品代金の支払いがなされない場合や、商品が発送されない場合にまず検討するのが、内容証明郵便の送付です。内容証明郵便は、郵便局が提供している郵便サービスの1つで、送付した文書内容の写しが郵便局に保管されるというものです。

    内容証明郵便を送付することで、「いつ、誰に、何を送付したか」という記録を残すことができます。配達記録というオプションをつけることで、受取日時も把握可能です。これによって、「文書を受け取っていない」という言い逃れができなくなります。また、内容証明郵便の書式は独特ですので、法律事務に携わっていない方が受け取ると、強い心理的プレッシャーを感じて、取引が円滑に進むようになる可能性もあります。

    ただし、内容証明郵便には、支払いや商品の発送を強制する力はありません。しかし、取引の事実を通達したことを証明する証拠のひとつになるため、法律業務でも多く使用されています

  2. (2)少額訴訟の申立

    少額訴訟とは、「60万円以下の金銭の支払いを求める場合」のみ利用できる、特別な裁判の手続きです。通常の訴訟とは異なり、1回の期日で審理が終わることから、時間をかけることなく裁判で商品代金の支払いや返金を求めることができます。

    少額訴訟で、相手方に支払い命令が出た場合は、それが「債務名義」となりますので、支払いが実行されない場合は、強制執行が可能となります。強制執行がなされた場合は、給料や預貯金等が差し押さえられます。

    少額訴訟を申し立てるために必要な書類は以下の通りです。

    • 訴状
    • 申立手数料
    • 郵便切手
    • 添付書類(当事者が法人の場合は登記事項証明書)


    少額訴訟は弁護士に依頼せずとも自ら行うことが可能な法律手続きのひとつとも言えます。ただし、訴訟自体が1度で終了しますので、期日までにすべての証拠をそろえておく必要があることに注意しましょう。代金が未払となった証拠や、そこに至るまでのやりとりなどをプリントアウトして用意しておくことをおすすめします。

    申立の手数料は、令和2年6月時点で、10万円につき1000円です。たとえば、30万円の代金未払いがある場合は3000円となります。これらの書類を用意した上で、管轄の簡易裁判所に提出し、受理されれば、後日簡易裁判所から期日の連絡がきます。相手方にも訴状の副本と口頭弁論期日呼び出し状、事情説明書が送付されます。

    期日の当日は、裁判官が双方の言い分を聞いて、証拠を確認して、判決を言い渡します。言い渡された判決に対し、双方が異議申立を行わなかった場合は、2週間後に判決が確定します。少額訴訟を通じてあなたの言い分が認められたにもかかわらず、それでも相手が支払ってくれないときは、「少額訴訟債権執行」と呼ばれる、差し押さえ手続きをとることができます。

5、まとめ

フリマアプリでは多くのトラブルが発生していますが、個人間トラブルであることを理由に運営会社の積極的な介入がなされず、利用者が困ってしまうという事例が少なくありません。トラブルが発生したら当事者同士で解決するように試みて、解決ができないようでしたら、運営会社、消費生活センター、弁護士などに相談しましょう。弁護士であれば、内容証明郵便の送付や少額訴訟など、最適な解決方法を助言できます

ベリーベスト法律事務所 久留米オフィスでは、インターネット上のトラブル解決にも積極的に取り組んでおります。ひとりで悩みを抱えずにお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています