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短時間正社員制度は正社員とどう違う? 導入の流れとメリットを解説

2020年10月07日
  • 労働問題
  • 短時間正社員制度
短時間正社員制度は正社員とどう違う?  導入の流れとメリットを解説

短期間正社員制度という制度をご存じでしょうか。厚生労働省のサイトによると、久留米市からもさほど遠くはない、福岡県内や鹿児島県内の病院や介護施設などでも採用されている働きかたのひとつです。

短期間正社員制度を採用すれば、家庭の事情や自己啓発などを理由に貴重な人材を手放さなければならないという事態に陥りません。労働者それぞれの事情を配慮しながら、働き続けてもらうことができます。

他方、短時間正社員制度を導入するには適切な業務配分や公正な人事評価など、企業の側もさまざまな工夫が求められます。そこで今回は、短時間正社員制度のメリットや導入の流れについて、久留米オフィスの弁護士が解説します。

1、多様な働き方にしてもらえる? 短時間正社員制度とは?

短時間正社員制度の概要を紹介します。

  1. (1)短時間正社員とは

    厚生労働省によれば、短時間正社員制度で定義している「フルタイム正社員」とは、1週間の所定労働時間が40時間程度(1日8時間労働で週5日勤務など)であり、かつ期間の定めのない労働契約を締結している正社員を指します。

    対して「短時間正社員」とは、フルタイム正社員と比較して1週間の所定労働時間が短い正規型の社員であり、かつ以下の2点の両方を満たす社員のことです

    • 期間の定めのない無期労働契約を締結していること
    • 1時間あたりの基本給と、賞与、退職金などの算定方法などが同種のフルタイム正社員と同等であること
  2. (2)短時間正社員制度の特徴

    短時間正社員制度を簡潔に表現すると、フルタイム勤務ではない正社員制度のことです。フルタイムの正社員と同等の意欲や能力を有しながら、何らかの事情で長時間働けない人材の離職を防ぎ、活躍してもらうことができます。

    育児や介護に支障をきたさないように働きたい、キャリアアップのための勉強と仕事を両立させたい、フルタイムではなく決まった日時だけ労働したい、定年後も積極的に働きたいなど、さまざまなニーズを満たすことにつながるでしょう。

2、短時間正社員制度を導入するメリット

短時間正社員制度を導入するメリットについて、組織、労働者、社会の3つの観点から解説していきます。

  1. (1)組織にとってのメリット

    ●意欲や能力の高い人材を確保しやすくなる
    フルタイム正社員と同等またはそれ以上の意欲や能力を有するものの、親の介護をしなければならないなど、何らかの理由によってフルタイムでは働けない人材も少なくありません。

    短時間正社員制度を導入することで、フルタイムで働けないことを理由に今まで登用できなかった優秀な人材を確保しやすくなります。

    ●生産性の向上に役立つ
    短時間正社員制度を導入すると、組織の生産性の向上に役立つ可能性があります。正社員がフルタイムのみで勤務しなければならないとすると、子育てや介護などに割ける時間が少なくなり、ストレスや疲労が蓄積するおそれがあります。

    ストレスや疲労がたまった状態でフルタイムの勤務をしたとしても、時間あたりの作業効率が低下してしまうことは、過去の各種調査からも明らかです。正社員であっても短時間勤務ができるようにすることで、ストレスや疲労を軽減して生産性を向上させることが期待できます。

    ●労働者の満足度が向上する
    短時間正社員制度を導入すると、労働者のニーズに沿ったさまざまな働きかたを提供することができます。キャリアアップのために資格の勉強をする時間を確保できることもそのひとつです。

    労働者にとって利便性の高い働きかたを提供することで、労働者の企業に対する満足度が向上します。それによって労働者のモチベーションが向上するだけでなく、組織への定着率の向上が実現できるでしょう

  2. (2)労働者にとってのメリット

    ●ワークライフバランスの改善
    ワークライフバランスを実現するには、仕事と生活の調和が取れていることが重要です。短時間正社員制度を導入することは、すなわち多様な働き方が可能になることにつながるため、調和を実現しやすくなります。

    たとえば、フルタイムで正社員として働きながら育児などの家庭生活を十分にこなすのは大変な場合が少なくなく、無理をすれば体調を崩すこともあります。短時間の勤務が可能になれば、時間的な余裕が生まれて仕事と家庭生活のバランスを整えやすくなります。

    ●キャリア形成の実現に役立つ
    フルタイムで勤務できないことを主な理由として、パートや契約社員などの非正規雇用の労働条件で働いている場合、短時間正社員制度が導入されれば、労働時間を長くせずに正規雇用の正社員として就業できるチャンスが広がります。

    また、急に家庭で介護をする必要がでてきたなど何らかの事情によってフルタイムで働けなくなった場合でも、正社員の待遇を維持しながら短時間で働くことが可能になります。

    ●職場全体の長時間労働の解消
    制度を導入すると、対象の正社員はフルタイムよりも短い時間で勤務できるようになりますが、職場全体の長時間労働の解消に役立つ場合もあります。

    対象の従業員が短時間で帰宅できるようにするためには、従来の勤務制度の見直しが必要になる場合が少なくありません。それをきっかけに職場全体の業務量の見直しや改善につながる可能性があるからです。

  3. (3)社会にとってのメリット

    ●少子高齢化と労働力減少への対応
    短時間正社員制度を導入すると、勤務時間の短縮によって家庭での育児や介護と仕事の両立がしやすくなり、少子高齢化問題への対策になることが期待できます。

    また、制度の導入によって時間に余裕のない女性や高齢者が正社員として活躍しやすくなります。それによって労働力人口の減少を抑制することにつながります。

    ●経済環境を改善する効果
    短時間正社員制度を導入すると、労働への意欲や能力が高いものの、フルタイムでは働くことが難しい人材を正社員として採用しやすくなります。それぞれの企業が積極的に人材を採用することで企業の競争力が向上し、経済環境が改善する効果が期待できます。

3、短時間正社員を導入する流れ

短時間正社員制度を導入するための一般的な流れをご紹介します。

  1. (1)短時間正社員に期待する役割の検討

    短時間正社員制度を導入する場合、まずは短時間正社員に期待する役割を明確にします。職務内容、適用期間、労働時間などが重要です。

    • 職務内容:従業員のニーズ、円滑な業務遂行、企業の人材活用方針などを踏まえて検討する
    • 適用期間:従業員のニーズや人材活用などを考慮し、適切な期間を定める
    • 労働時間:従業員のニーズや円滑な業務遂行などを考慮し、勤務時間を柔軟に設定する
  2. (2)短時間正社員の労働条件の検討

    短時間正社員の役割が明確になったら、次に労働条件の検討に入ります。一般的な労働条件の目安は以下のとおりです。

    ●人事評価
    能力評価や行動評価については、基本的にフルタイム正社員と同様の評価基準、要素を採用します。成果目標を設定する場合、質的な目標は変更せずに量的な目標を時間に応じて減少させるのが原則です。

    ●月例給与
    同じ職種、職位のフルタイム正社員の支給額をベースとし、労働時間に応じて減額して支給します。各種手当はそれぞれの制度趣向や支給基準を踏まえたうえで検討します。

    ●賞与
    フルタイム正社員と同様の基準でボーナスを支給します。

    ●退職金
    勤続年数を考慮して退職金を算定する場合、短時間正社員制度の利用期間も勤続年数に含めるのが原則です。退職金の性質(賃金の後払い、功労報償、生活保障など)も考慮します。

    ●教育訓練
    同じ職種、職位のフルタイム正社員と同様の教育訓練の機会を確保できるようにします。制度を利用することで、教育訓練を受ける機会が制約されないように工夫することが大切です。

  3. (3)将来的なフルタイム正社員への移行検討

    短時間正社員として登用した従業員については、ケースに応じて将来的なフルタイム正社員としての復帰、転換の可能性を検討し、スムーズに移行できるように準備を整えておくことが重要です。

    たとえば、育児、介護、自己啓発、心身の健康不全などを理由に短時間正社員として場合、その状況が終了すればフルタイム正社員としての復帰、転換が期待できます。

  4. (4)短時間正社員制度の導入と周知

    短時間正社員制度の導入が決まったら、制度について関係者に適切に周知することが重要です。制度を円滑に運用できるかどうかは、関係者が制度をどれだけ深く理解しているかが影響してくるからです。

    関係者に周知すべき一般的な内容は、以下のとおりです。

    • 制度の対象者:制度を導入した目的、制度の内容、制度利用の事務手続き、制度を利用する注意点(メリットやデメリット、キャリア形成など)
    • 管理職:制度を導入した目的、制度の内容、制度利用の事務手続き、制度利用前後の留意点(仕事の配分、働き方の見直し、適正な人事評価制度など)
    • 周囲の社員:制度を導入した目的、制度の内容

4、短時間正社員制度を導入する際の注意点

短時間正社員制度を導入する際の注意点を解説します。

  1. (1)フルタイムと同様の処遇が必要

    短時間正社員制度を導入する場合、基本的にフルタイム正社員と同様の処遇が必要になります。フルタイム正社員と同じ内容の業務に従事しているのであれば、それに見合った処遇が必要になるということです。

    具体的な方法としては、基本給の額を所定労働時間で案分する、支給名目に応じて各種手当を適切に支給する、正社員と同じ福利厚生を導入するなどです。

  2. (2)適切な業務配分が重要

    短時間正社員に対しては適切な業務量を配分することが重要です。仕事量が従来と変わらなければ、同じ量を短時間でこなさなければならないことになり、制度が形骸化してしまうためです。

    制度利用者が相談しやすい体制づくり、仕事配分の見直しや周囲の協力体制の構築、管理職の適切な職場マネジメントなどがポイントとなるでしょう。

  3. (3)公正な評価制度を構築

    制度利用者に対する人事評価については、勤務時間が短いことだけを理由に不当に低い人事評価にならないように、公正な評価を行える仕組みを構築することが大切です

    評価制度が機能していない場合、制度利用者のモチベーションの低下や離職につながる可能性があります。管理職に対する制度の周知徹底、制度利用者へのフィードバック、必要に応じての評価制度の改善などが重要です。

5、まとめ

短時間正社員制度とは、正社員としての正規雇用を維持しつつ、フルタイム正社員と比較して短い時間で働いてもらうことが可能になる制度です。育児、介護、キャリアアップ、高齢者雇用などさまざまなニーズに対応できるのが特徴といえるでしょう。

短時間正社員制度は組織、労働者、社会の3つにとってさまざまなメリットがありますが、適切な業務量の配分や公正な評価制度などの取り組みも必要になります。短時間正社員制度を導入する場合、ベリーベスト法律事務所の法人向け顧問サービスや企業法務サービスのご利用をご検討ください。

労務管理や社内規定の作成変更など、短時間正社員制度の導入に役立つ各種のサービス提供をワンパッケージで、企業法務を担う弁護士がサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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