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魚釣りは「漁業権」の侵害になる? 違反行為・罰則・注意点などを解説

2023年01月17日
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魚釣りは「漁業権」の侵害になる? 違反行為・罰則・注意点などを解説

福岡県の漁業センサスによると、平成30年(2018年)11月1日時点における福岡県内の漁業就業者数は4376人で、5年前に比べて764人減少しました。

海や川でレジャーとして魚釣りをすることは、場所や方法によっては「漁業権侵害」に該当するおそれがあります。魚釣りを趣味としている方は、漁業法その他の法令上のルールを正しく理解して、気づかぬうちに違法行為に手を染めてしまうことがないように、注意しなければいけません。

本コラムでは、魚釣りが漁業権侵害になる場合や、漁業権侵害の罰則、海釣り・川釣りそれぞれの注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 久留米オフィスの弁護士が解説します。

1、魚釣りが犯罪になる?「漁業権」の基礎知識

日本において漁業を営む水産業者などは、「漁業権」に基づいて保護されています。
釣った魚を販売することなどを意図していない、レジャー目的の魚釣りであっても、場合によっては漁業権侵害となる可能性があるために注意が必要です

まずは、「漁業権」に関する基礎知識から解説いたします。

  1. (1)漁業権とは?

    「漁業権」とは、一定の水面において、排他的に特定の漁業を営む権利のことをさします。
    漁業権は「漁業法」という法律に基づいて設定されています

    漁業法の目的は、水産資源の持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、もって漁業生産力を発展させることにあります(漁業法第1条)。
    この漁業法の目的を達成するためには、水産物を国民に供給する漁業者の活動を保護し、その反面、漁業者以外の者による濫用的な水面利用を規制することが必要となります。

    上記の目的を達成するための手段として、漁業者に「漁業権」を与えて生産能力を保護・強化して、日本国内における水産物の供給を確保することが意図されているのです。

  2. (2)3種類の漁業権|定置漁業権・区画漁業権・共同漁業権

    漁業法では、漁業権が以下の3種類に分けられています(漁業法第60条第1項)。

    ① 定置漁業権
    定置漁業を営む権利です。
    「定置漁業」とは、最高潮時の水深が27メートル以上の場所において、漁具を定置して営む漁業のことをさします(定置網漁業など)。
    また上記以外にも、北海道においてシャケを主たる漁獲物とする定置式の漁業は「定置漁業」に該当するのです。

    ② 区画漁業権
    区画漁業を営む権利です。
    「区画漁業」とは、一定の区域において行われる養殖業をいいます。

    ③ 共同漁業権
    共同漁業を営む権利です。
    「共同漁業」とは、貝や藻などを採取するために、漁場を地元漁民が共同利用して営む漁業をいいます。


    一定の区域において、上記のいずれかの漁業を営むためには、都道府県知事の免許(漁業法第69条第1項)を受けるか、漁業権者から「入漁権」(漁業法第97条以下)の設定を受ける必要があります。

    なお、漁業権の存続期間は、免許の日から起算して、区画漁業権と共同漁業権は10年、定置漁業権は5年となっています(漁業法第75条第1項)

  3. (3)漁業権の侵害に当たる行為とは?

    漁業権の侵害に当たるのは、主に以下のような行為になります。

    • ① 敷設中または使用中の漁具や養殖施設を毀損して、漁業権者の採捕・養殖を妨害する行為
    • ② 漁場内における水産動植物を無断で採捕する行為
    • ③ 水質の汚濁や工作物の設置などにより、漁場内の水産動植物の棲息・来遊を阻害する行為


    魚釣りについては、上記の②との関係で、漁業権を侵害する行為になるおそれがあります。

    つまり、一般人が魚・貝類・海藻類などを採捕する行為は、漁業権のうち「共同漁業権」の侵害に該当する可能性があるのです

    ただし、魚などの水産動植物を採捕する行為がすべて漁業権侵害に当たるわけではなく、「遊漁」として認められる範囲であれば適法になります。
    「遊漁」とは、主にレジャー目的で行われる魚釣りや潮干狩りなどを意味します。
    遊漁については、各都道府県の条例(漁業調整規則)や、漁業権者が定める独自の遊漁規則によってルールが設けられております。魚釣りに行く前には、該当する場所のルールをよく確認するようにしましょう

2、漁業権を侵害した場合の法律上のペナルティー

魚釣りが漁業権侵害に当たる場合には、以下のような法律上のペナルティーを受けるおそれがあります。

  1. (1)漁業権侵害行為の中止・予防を請求される

    漁業権侵害を受けた漁業権者は、侵害者に対して、侵害行為を中止して、また将来にわたって行わないように求めることができます(漁業権に基づく妨害排除請求権・妨害予防請求権)。

    「一人でふらっと寄った川で、1回だけ魚釣りをした」といった場合には、妨害排除や妨害予防の請求を受ける可能性は低いでしょう。
    しかし、漁業権侵害に当たる採捕行為を何度も継続的に繰り返している場合や、集団で漁業権侵害を行っている場合などには、妨害排除請求や妨害予防請求を受ける可能性が高まるのです

  2. (2)損害賠償を請求される

    魚釣りによって漁業権を侵害した場合には、採捕した魚の量などに応じて、漁業権者から損害賠償を請求されるおそれがあります(民法第709条)

    また、漁業権者によって遊漁料が設定されている場所では、無断で遊漁を行った者に対して、漁業協同組合(漁協)が遊漁料相当額の賠償を請求する場合があるのです。

  3. (3)刑事罰を受ける

    漁業権侵害に当たる行為には、刑事罰として「100万円以下の罰金」が科される可能性があります(漁業法第195条第1項)。
    なお、漁業権侵害の罪で被疑者を起訴する場合には、漁業権者による告訴が必要とされます(同条第2項)。

    罰金刑のみではありますが、漁業権侵害が悪質である場合には、捜査機関による逮捕が行われる可能性もあるため、注意が必要となります

3、海釣りと川釣り、それぞれにおける法令上の注意点

趣味としての魚釣りを楽しまれる方のなかには「海釣り派」もいれば「川釣り派」もいるでしょう。
漁業法等の法令上では、海釣りと川釣りのそれぞれについて、注意すべき点があります。

魚釣りを楽しむ際には、下記の事項に十分注意して、「知らないうちに法を犯していた」ということにならないようにしましょう

  1. (1)海釣りに関する注意点

    海釣りの場合は、まず、「共同漁業権に基づいて保護されている水産動植物の採取は禁止されている」ということに注意が必要です。

    採取が禁止されている水産動植物の例としては、以下のものが挙げられます。

    • 貝類(あさり、あわび、さざえなど)
    • いわがき
    • いせえび
    • うに
    • なまこ
    • 海藻類(こんぶ、わかめなど)
    など


    もしこれらの水産動植物が思いがけず採捕できてしまった場合には、すぐにリリースしましょう。
    ただし、漁業協同組合に入漁料を支払えば、これらの水産動植物の採捕が認められる場合もあります。

    また、レジャー目的の魚釣りであっても、以下の行為は違法となるため注意が必要です。

    • 船を走行させながら釣りをするトローリング
    • ひっかけ針を釣り竿(ざお)に付けて魚などを採捕すること
    • もりの使用
    など
  2. (2)川釣りに関する注意点

    川釣りの場合も、海釣りと同様に、共同漁業権の対象となっている水産動植物を採捕することは禁止されます。
    また、川釣りの場合は、都道府県条例や管轄の漁業協同組合によって独自のルールが設けられていることが多々あります。そのため、釣りに行かれる前には、具体的に適用されるルールについて事前にきちんと確認することが必要となるのです

4、魚釣りが漁業権侵害に当たるかどうか不安な場合は、弁護士に相談を

レジャーの範囲内で魚釣りを楽しむ場合には、漁業権侵害が大々的に問題となることは少ないでしょう。
しかし、趣味が高じて、通常よりも採捕の規模を拡大したり、これまでとは違った方法で魚を採捕しようとしたりする場合には、念のため漁業権侵害に当たらないかを確認することが重要になります。

漁業法など、漁業に関する法令のルールは複雑であり、正確にその内容を理解するためには、法律に関する専門的知識が必要とされます。
したがって、魚釣りを行う際に、漁業法などの法令との関係で疑問点が生じた場合には、法律の専門家である弁護士にまで相談することをおすすめします

弁護士に依頼すれば、都道府県条例や漁業協同組合が定める遊漁規則などについても調査させることができます。
レジャー目的の魚釣りをするうえで、どこまでの行為が適法でどこからが違法なのかを正確に把握・理解することができるようになるでしょう。

魚釣りを安心して楽しむためにも、少しでも法律面で不安がある場合には、ベリーベスト法律事務所にまでお気軽にご相談ください

5、まとめ

魚釣りが行われる海や川には、水産業者に「漁業権」が認められているケースが多いです。

特に魚釣りの場合は、「共同漁業権」との関係で、採捕できる水産動植物の種類や、採捕の方法などについて制限が課されています。
魚釣りに対する規制の全体像を知るには、漁業法だけでなく、都道府県条例や漁業協同組合の定める遊漁規則などもあわせて確認する必要があるので、不安があれば弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、漁業関係の法令について十分な調査を行い、依頼者が魚釣りを安心して楽しむことができるようにサポートいたします

福岡県久留米市内で魚釣りと漁業権侵害の関係についてわからないことがある方や、不安な点がある方は、ベリーベスト法律事務所 久留米オフィスにまでお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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